2012-02-01から1ヶ月間の記事一覧

解錠師/スティーヴ・ハミルトン(ハヤカワ・ミステり)

MWAの最優秀長編賞とCWAのスチール・ダガー賞というダブルクラウンに輝いた『解錠師』の作者は、私立探偵アレックス・マクナイトのシリーズでおなじみスティーヴ・ハミルトンだが、一部同じミシガンを舞台にしているものの、こちらはノン・シリーズ作…

破壊者/ミネット・ウォルターズ(創元推理文庫)

忘れたころに作品が届けられるミネット・ウォルターズだが、同じ英国の女性作家でも、すっかり翻訳が途絶えたルース・レンデルや、新たな翻訳が望み薄なフランセス・ファイフィールドらに較べれば、まだ良い方かもしれない。四年半ぶりの『破壊者』は、刊行…

フェア・ゲーム/ダグ・リーマン(2010・米唖)

ホワイトハウスを牛耳る大統領の側近たちが、マスコミを通じてひとりのCIAエージェントの身分を世間に晒すというとんでもない愚挙に出た、世にいうプレイム事件。この二十一世紀初頭、実際に起きたスキャンダルに取材したのが、『フェア・ゲーム』である。…

ワンダーランドの悪意/ニコラス・ブレイク(論創社)

昨年、ルイス・キャロルが遺した二つのアリスの物語に大胆な脚色を施したティム・バートンの映画「アリス・イン・ワンダーランド」が話題になったが、ニコラス・ブレイクの『ワンダーランドの悪夢』もやはりキャロルの原典を下敷きにした名作として、昔から広…

スウィッチ/フレデリック・シェンデルフェール(2011・仏)

以前映画も大ヒットした『クリムゾン・リバー』(創元推理文庫)の作者ジャン=クリストフ・グランジェが共同脚本(製作も)に加わった『スウィッチ』は、いかにもフランス・ミステリらしい出だしから始まる。互いの住居交換を支援するサイトを利用して、モン…

希望の記憶/ウィリアム・K・クルーガー(講談社文庫)

ウィリアム・K・クルーガーの『希望の記憶』は、先に刊行されている『闇の記憶』と密接な繋がりを持つ後日談である。前作の尻切れトンボだった結末にもやもやした思いを抱き、本作を待ちわびていた読者も多いに違いない。 保安官の職に返り咲いたものの厄介…

ミッション:8ミニッツ/ダンカン・ジョーンズ監督(2011・米)

SF映画だとは判っていても、「このラスト、映画通ほどダマされる」というあざといコピーを見せられては素通りできないダンカン・ジョーンズの『ミッション:8ミニッツ』。デヴィッド・ボウイの息子という重圧を跳ね返して成功を収めた『月に囚われた男』に続…