2010-11-01から1ヶ月間の記事一覧

6人の容疑者/ヴィカーズ・スワループ(武田ランダムハウスジャパン)

『ぼくと1ルピーの神様』という小説に思いあたらなくても、それを原作としてアカデミー賞に輝いた映画「スラムドッグ$ミリオネア」を知らない人はいないだろう。作者のヴィカーズ・スワループは、大阪に赴任中のインド総領事という人物だが、その第二作は付…

フェアウェル さらば,哀しみのスパイ/クリスチャン・カリオン監督(2009・仏)

不勉強なことに、旧ソ連をペレストロイカ、さらには冷戦終結のマルタ会談へと向わせる大きなきかっけとなった事件のことを、この映画を観るまでわたしは知らなかった。フランス映画の『フェアウェル さらば,哀しみのスパイ』である。八十年代前半のブレジネ…

ぼくを忘れたスパイ/キース・トムスン(新潮文庫)

フリーマントル、ラドラム、クィネルといった国際謀略小説の巨匠らの名作を数多く紹介してきた新潮文庫だが、今回新たに仲間入りしたキース・トムスンの『ぼくを忘れたスパイ(上・下)』は、これまでのスパイものの常識を破る風変わりな作品だ。主人公のチ…

エアーズ家の没落/サラ・ウォーターズ(創元推理文庫)

『夜愁』で文学方面に行ってしまうのかなと思わせたサラ・ウォーターズだが、新作の『エアーズ家の没落』では、堂々とジャンル小説への帰還を果たした。第二次世界大戦直後という設定は前作とほぼ同じだが、舞台をイングランド中部の田園地帯に移して、没落…

クリスティーの代表作が新訳へ

すでに、『そして誰もいなくなった』(青木久恵訳)と『五匹の子豚』(山本やよい訳)が書店に並んでいるようですが、続刊8作を含めて、合計10作の新訳版刊行が予定されているようです。続刊8作のラインナップと訳者は、次のとおりです。 なお、『そして…