2011-11-01から1ヶ月間の記事一覧

シャンタラム/グレゴリー・デイヴィッド・ロバーツ(新潮文庫)

明の時代に書かれ、今も読み継がれる大長編小説の名作四編(「水滸伝」、「三国志演義」、「西遊記」、「金瓶梅」)を称えて、中国四大奇書などという。それらに共通する大きなスケールや無類の面白さ、さらにはいくら読んでも尽きることのない長大さという…

ねじれた文字、ねじれた路/トム・フランクリン(ハヤカワ・ミステリ)

トム・フランクリンは、デビューからこのかた長編三冊、短編集一冊という寡作で、唯一の短編集『密猟者たち』のみが翻訳されている。長編としては初紹介の『ねじれた文字、ねじれた路』は、すでにLAタイムズブックプライズの最優秀ミステリ賞を受賞、さら…

ミケランジェロの暗号/ウォルフガング・ムルンベルガー監督(2010・墺)

ナチスやホロコーストを描く映画がどこか一様なのは、人類の背負うその歴史の重さからくるものだと思うが、ややもするとその息苦しさから逃れたくなる時がある。そんな観客にとって、やられる一方じゃないユダヤ人やパルチザンらを描いたタランティーノの『…