ノンストップ!/サイモン・カーニック(文春文庫)

まさにそのタイトルが内容のすべてを言い当てているサイモン・カーニックの『ノンストップ!』は、久しく疎遠だった親友から突然かかってきた電話で幕をあける。その不可解な内容に首をかしげる間もなく主人公の平和な日常は暗転し、正体不明の集団に命を狙われる主人公の必死の逃避行が始まる。
連続ドラマよろしく、次から次へとどんでん返しを連発する一種のあざとさが命の本編だが、そのスピーディな展開は半端じゃなく、久々にページターナーという言葉を思い起こさせてくれる。本作の映像的な面白さを指すのだろう、帯のキャプションに?ジェットエンジンを積んだヒッチコック?という惹句が見えるが、なるほどデヴィッド・フィンチャーあたりが映画化したら、かなり面白いものが出来上がりそうだ。
本の雑誌2010年8月号]

ノンストップ! (文春文庫)

ノンストップ! (文春文庫)