その他

20世紀の幽霊たち/ジョー・ヒル(小学館文庫)

ちょっと前に長編の「ハートシェイプト・ボックス」を大絶賛したばかりのジョー・ヒルだけれど、あの極上のゴースト・ストーリーもまだまだこの作家にとっては、才能の片鱗に過ぎなかった。というわけで、ブラム・ストーカー賞にも輝いた『20世紀の幽霊たち…

聖者は口を閉ざす/リチャード・プライス(文藝春秋)

「フリーダムランド」以来、久々の紹介となるリチャード・プライスの『聖者は口を閉ざす』。ミステリというより、物語の中心に謎を据えた普通小説というべきかもしれないが、その謎はなかなか魅力的だ。主人公のレイは、ある日自宅で何者かに殴打され重傷を…

古城ホテル/ジェニファー・イーガン(ランダムハウス講談社)

長篇小説は五年に一冊という、寡作な作家ジョニファー・イーガン。デビュー作の「インヴィジブル・サーカス」は、キャメロン・ディアス主演で映画(邦題「姉のいた夏、いない夏」)にもなったので、ご存知の向きもあるだろう。『古城ホテル』は、二○○六年に…

北東の大地、逃亡の西/スコット・ウォルヴン(ハヤカワ・ミステリ)

この短編集の作者スコット・ウォルヴンの名をご存知の読者は少ないかもしれないが、オットー・ペンズラーの有名なアンソロジー〈ベスト・アメリカン・ミステリ〉のシリーズでは、常連としてお馴染みの人である。『北東の大地、逃亡の西』は、アメリカのロー…