バッド・モンキーズ/マット・ラフ(文藝春秋)

マット・ラフは、もともとSF読者の間ではスリップストリーム系の風変わりな作家として注目されてきた人のようだが、『バッド・モンキーズ』は、ミステリ・ファンにも十分対応可能な痛快なアクション小説である。矯正不能の悪者たち(すなわちバッド・モンキーズ)を社会から消し去ることが自分の使命と主張し、自らの数奇な過去を語っていく主人公のジェイン。しかし、彼女は殺人容疑で逮捕され、精神科医の訊問を受ける身なのだ。嘘か真か、現実と都市伝説の間を蛇行していくような企みに満ちた物語は、緊張感とスピード感に満ち満ちている。不幸なヒロイン萌えの読者もぜひ。
本の雑誌2009年12月号]

バッド・モンキーズ

バッド・モンキーズ