レポメン/エリック・ガルシア(新潮文庫)

恐竜探偵シリーズの生みの親エリック・ガルシアの『レポメン』は、人工臓器が発達し、高価の臓器を買うためにはローンが一般化している近未来が舞台。主人公は、ローン滞納者からメスを使って手荒に臓器を回収する腕利きの取立屋(レポメン)だったが、ある出来事を境に、自らが追われる身となってしまう。
時系列を無視して語られていく主人公の断片的な回想が、読者を煙に巻くような、不思議な効果をあげている。やがて主人公をめぐる秘密が立ち上がってくるが、そこからのめくるめく展開が見事。一気にそれまでの物語の綾を浮かび上がらせ、実に感動的だ。
本の雑誌2009年12月号]

レポメン (新潮文庫)

レポメン (新潮文庫)