祝宴/ディック・フランシス&フェリックス・フランシス(早川書房)

『祝宴』は、復活した新生ディック・フランシスの第二弾。怪しいと思っていたがやはり合作者がいて、今回から息子のフェリックス・フランシスも連名でクレジットされるようになった。今回は馬の調教師を父親に持ちながらシェフとして成功した主人公が、自分のレストランの食中毒の不祥事を挽回すべく、ニューマーケット競馬場で起きた爆弾事件の真相を追う。
前作ほどではないが、全盛期のフランシスを彷彿とさせる。カリスマ・シェフという主人公の設定も面白いし、取材が行き届いているのだろう、その世界の情報量も十分。主人公がひょんなことから身をやつすことになるロマンスもなかなかいいのだが、全体としてやや詰め込み過ぎの感があるのが惜しまれる。
[本の雑誌2009年3月号]

祝宴―競馬シリーズ (ハヤカワ・ノヴェルズ)

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