アマンダの影/キャロル・オコンネル(創元推理文庫)

キャロル・オコンネルのマロリーものの第二作にあたる『アマンダの影』。前作の「氷の天使」で停職をくらっていたマロリーだが、彼女のブレザーを身に付けた死体が発見されたことから、捜査の第一線に復帰する。遺された手がかりである未刊の私小説原稿をめぐって、被害者を死へと追いやった人物の洗い出しにかかる。
連続の紹介となったけれども、わたしがなぜそこまでこのシリーズに拘っているかは、本作をお読みいただければ判ると思う。社会病質者の犯人を社会病質者の刑事が追うという、いかにも現代的な構図が恐るべきリアリティを生んでいる。この作品は、前作同様に竹書房から出たもの(旧題「二つの影」)を新訳リニューアルしたリバイバル作品。この二作を露払いとして、さて次はいよいよ「死のオブジェ」となる。
本の雑誌2001年9月号]

アマンダの影 (創元推理文庫)

アマンダの影 (創元推理文庫)