高く孤独な道を行け/ドン・ウィンズロウ(創元推理文庫)

ご存知、ニール・ケアリーもののパート3『高く孤独な道を行け』である。「仏陀の鏡への道」で中国に足止めをくらっていたケアリーが、義父グレアムの差し伸ベた救いの手で帰国するところから物語は始まる。今回の任務は、父親に誘拐された二歳の男の子を連れ戻すこと。ネヴァダの片田舎に潜入したケアリーは、西部劇さながらの世界で、邪悪なカルト教団と対決する。
一作ごとに深く傷つき、成長を遂げている筈なのに、ニールのナイーヴな感性は、まるで彼が永遠に少年であり続けるかのように失われていない。シリーズの魅力は、そんな色褪せない主人公の魅力に尽きる。そんなニールが、シリーズの区切りとなる次の作品でどう変貌するのか。期待と不安が入り交じって…、ああ四作目が待ち遠しい!*1
[本の雑誌1999年9月号]

高く孤独な道を行け (創元推理文庫)

高く孤独な道を行け (創元推理文庫)

*1:残念ながら、期待よりは不安に近い第4作となったのは、ご存知のとおり