終わりなき孤独/ジョージ・P・ペレケーノス(ハヤカワ文庫)

ワシントン・サーガに幕をひいたジョージ・P・ペレケーノスは、現在、黒人探偵のデレク・ストレンジ・シリーズに取り組んでいる。二○○二年の新作『終わりなき孤独』は、シリーズ第二作にあたる。
売春婦を支援する組織のメンバーから、デレクのもとに舞い込んだのは、十代半ばの白人の家出少女を探しだすのを手伝ってほしいという依頼だった。デレクは、相棒のクィンにその仕事を廻すが、まもなくクィンは少女がある黒人のぽん引きの下で働かされていることを突き止め、ふたりはなんとか彼女を救い出そうと試みる。
一方、余暇にはボランティアで子どもたちにフットボールを教えるデレクだったが、ある日の練習終了後、子どもたちの一人が何者かに射殺されるという事件が発生する。怒りに駆られたデレクは、単身犯人探しに乗り出すが、事件はワシントンに巣食う麻薬の組織に繋がっていた。
家田荘子さん推薦というコピーはいかがなものかという思いがないではないが、いかにも正義派ペレケーノスらしい感動的な人間賛歌であり、親と子の絆をテーマとした物語としての完成度も高い。やや甘口の印象は否めないが、作者の熱血なメッセージが読者の胸をうつ。
[ミステリマガジン2004年11月号]

終わりなき孤独 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

終わりなき孤独 (ハヤカワ・ミステリ文庫)