最高の銀行強盗のための47ヶ条/トロイ・クック(創元推理文庫)

テキサスの田舎町でくすぶっていた青年マックスが、とびきりの美女サラと出会って恋におちた。しかし、ふたりの間に立ちふさがったのは、それぞれの父親で、一方は保安官、一方は悪漢だった。そう、厄介なことにサラとその父親は、銀行を襲っては町から町へと移動の、旅を続ける銀行強盗の親子だったのだ。
九歳のサラが父親とともに銀行を襲う序章は、そのコミック調に興をそがれるが、その十三年後、サラがいっちょまえの美女に成長してからは、軽快なテンポの悪漢小説として賑々しく展開し、飽かせない。レナードあたりと較べると、やや甘さも目立つが、青春小説や恋愛小説の色合いとの相性は決して悪くない。今後の活躍に期待がかかる新鋭トロイ・クックの才気あふれるデビュー作だ。
[本の雑誌2008年12月号]

最高の銀行強盗のための47ヶ条 (創元推理文庫)

最高の銀行強盗のための47ヶ条 (創元推理文庫)