トールマン/パスカル・ロジェ監督(米加仏・2012)


六年前に鉱山が閉鎖され、寂れてしまった炭鉱町のコールド・ロック。この町では、子どもたちが姿を消す怪事件が相次いでいた。目撃者の証言から、フードを被った長身の男が犯人との情報が流れ、子取り鬼の「トールマン」の仕業だという噂も囁かれていた。ある晩のこと、小さな診療所をひとりで切り盛りしているジェシカ・ビールの家からも、子どもが連れ出された。走り去ろうとする車を必死に追いかけ、彼女は命がけで子どもを奪還するが、なぜか町の人々からは、奇妙な視線を向けられることに。
監督のパスカル・ロジェは、出世作の〈マーターズ〉といい、その後ハリウッドに招かれるも〈ヘル・レイザー〉のリメイクを蹴ったという逸話といい、てっきりホラー映画の人だと思っていたが、〈トールマン〉は歴としたミステリ映画である。中盤の大胆不敵なツイストが決まったと思いきや、そこからさらに予想もつかない方角へと思いっ切った舵取りを見せる。欲を言えば、迷路のように広がる地下の設定をもう少し活かせれば、さらに良かっただろう。
日本推理作家協会報2012年12月号]
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