コロンビアーナ/オリヴィエ・メガトン監督(米仏・2011)


そもそもは〈レオン〉の続編として企画されたというリュック・ベッソン・ファミリーの新作〈コロンビアーナ〉は、主人公カトレアの少女時代から始まる。南米コロンビアで麻薬取引の汚れ仕事に手をそめてきた父親が、母親ともどもボスの麻薬王の手にかかって殺されるのが発端だ。命からがらアメリカ大使館に逃げ込んだカトレアは、父親が持たせた麻薬取引の記録と引き換えにシカゴへの切符を手にいれ、祖母と暮らす叔父のもとにころがりこむ。そして十五年後、凄腕の殺し屋へと変貌を遂げたカトレアの復讐が始まる。
街の裏側を駆け抜けるように殺し屋たちから逃げおおす少女時代(アマンドラ・ステンバーグ)と、大人に成長した彼女(ゾーイ・サルダナ)がしなやかな肢体を駆使して警察の留置場に忍びこみ、標的をしとめる二つのシークエンスがシンクロし、ヒロイン像を鮮やかに浮かび上がらせる。実現はしなかったが、〈レオン〉の後日談が語られるとすれば、こういう話になったろう、と思わせるあたりも興味深いところだ。ベッソンのアクション映画としてやや甘口だし、とりたてて新味はないが、ヒロインの魅力に加えて、復讐譚としての娯楽性は十分。先の監督作であったアウンサン・スーチーの伝記映画といい、ベッソンの中には強い女に憧れの気持ちがあるに間違いない。監督は、〈96時間/リベンジ〉のオリヴィエ・メガトン
日本推理作家協会報2012年11月号)
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