フローズン・リバー/コートニー・ハント監督(2008・米)

サンダンス映画祭でグランプリに輝き、タランティーノ絶賛という折り紙が付いた新鋭コートニー・ハント監督の『フローズン・リバー』は、カナダと国境を接するニューヨーク北部の田舎町を舞台に、貧困にあえぎ、子どもを育てる金ほしさから主婦のメリッサ・レオが、ひょんなことから相棒になった原住民族のミスティ・アップハムとともに、胡散臭い不法入国のビジネスに手を染める。家族愛を底流に、女性の友情を描く作品だが、暗く冷たい街の風景が、犯罪小説の非情さと見事にマッチしている。定石どおりに犯罪は割りに合わないという結末が待ち受けるが、登場人物らの未来にほのかな希望の灯が見えるラストは心にしみる。
日本推理作家協会報2010年2月号]
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