THE 4TH KIND フォース・カインド/オラトゥンデ・オスンサンミ監督(2009・米)

タイトルもそのものずばり、エイリアン・アブダクション(異星人による誘拐行為)を描く『THE 4TH KIND フォース・カインド』は、ナイジェリア人の血をひくオラトゥンデ・オスンサンミ監督のおそらくは初メガホン作品。不眠症患者や行方不明者多数、FBIの出動回数も数え切れない。まさにエイリアン銀座ともいうべきアラスカ北部の田舎町ノームで、心理学博士のミラ・ジョヴォヴィッチ催眠療法を受けた患者に次々と異変が起きる。保安官のウィル・パットンは治療を禁ずるが、彼女は友人の心理学者イライアス・コーティーズを呼び寄せ、自らが催眠療法の被験者となり、この町を襲った謎に迫ろうとする。
 ドキュメント映像(フェイクではないと断わってるが、どう見ても胡散臭く、フェイクだと思う)を挿入するという手法が、ミステリでいう死体のまわりに館を築く新本格の手法を思わせ、大きな効果をあげている。後半は露骨なUFO話になって、いわゆるトンデモ系のそしりは免れないが、フィクションの中でノンフィクションの要素を巧み使った点は、評価してもいいのではないか。この手の物語として新機軸が見当たらないのは物足りないが、衝(笑?)撃のシーンのあざとさには、判っていながらついやられてしまいました。 
日本推理作家協会報2010年2月号]
》》》公式サイト