屍車/ジョー・シュライバー(集英社文庫)

初紹介となるジョー・シュライバーの『屍車』も、あんまりな邦題が玉に瑕だが、ホラー系としてはなかなかの収穫。雪の降りしきる夜のニューイングランドを舞台に、幼い娘を人質にとられた母親が、謎の男の命じるまま町から町へと車を走らせる。前半のストレートな緊張感が、後半誘拐犯の意図が見え始めると、物語性との両輪でさらに加速していくあたりが見事。引き続きの紹介を望みたい有望新人だ。
本の雑誌2010年3月号]

屍車 (集英社文庫)

屍車 (集英社文庫)