レースリーダー/ブルノニア・バリー(ヴィレッジブックス)

魔女伝説でおなじみのマサチューセッツ州セーラムの町を舞台に、ファンタスティックなミステリを書き上げたのは、アメリカから登場したブルノニア・バリーだ。彼女の処女作『レースリーダー』は、レースの編み目から未来を読み取るという不思議な能力を代々受け継ぐ一族をめぐる物語で、その末裔であるヒロインが、大叔母が失踪したとの報せを受け、十五年ぶりに帰郷するところから始まる。
実は、彼女には封印された過去があって、それがレース占い師(リーダー)としての優秀だった大叔母が姿を消した事件とも深いかかわりがある。物語が進むにつれて明らかになっていく衝撃的な事実が、読者の意表をつくこと必至。ヒロインがたどる再生の物語の感動とともに、丁寧にはりめぐらされた伏線の妙味をたっぷりと味わってほしい。
[波2010年1月号]

レースリーダー (ヴィレッジブックス)

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