日曜哲学クラブ/アレグザンダー・マコール・スミス(創元推理文庫)

『日曜哲学クラブ』は、アフリカ南部のボツワナを舞台にした〈ミス・ラモツエの事件簿〉の作者アレグザンダー・マコール・スミスによる別シリーズ。主人公のイザベルは、エディンバラ在住の哲学雑誌の女性編集者で、ある晩足を運んだコンサート・ホールで、若い男の墜落死を目の当たりにしてしまう。事件の真相が気になって仕方ない彼女は、死者のルームメイトを訪れるが。
伝統的な英国推理を現代風に置き換えてみたら、こんな感じだろうか。哲学や芸術をめぐる談義の饒舌や、賑やかな人間関係が、メインディッシュの謎ときと抜群の相性をみせる。さらにはクライマックスのサスペンス、幕切れの不思議な心地よさと、小品の佇まいながら、まさに至れり尽くせりの一品だ。
本の雑誌2009年10月号]

日曜哲学クラブ (創元推理文庫)

日曜哲学クラブ (創元推理文庫)