パッセンジャーズ/ロドリゴ・ガルシア監督(2008・米)

ブロークバック・マウンテン」と「プラダを着た悪魔」で注目を集めるアン・ハサウェイ主演が売りの『パッセンジャーズ』。旅客機の墜落事故で奇跡的に生き残った五人の乗客を相手に、精神的なケアを担当することになったセラピストのアン・ハサウェイ。しかし、グループカウンセリングを行ううちに、次々と患者は姿を消していく。一方、航空会社の社員が身辺に出没することから、事故の原因は公式発表にあったようにパイロットのミスではなく、機体に問題があったのではないかという疑惑が彼女の中で膨らんでいくが。事故生存者のひとりであるパトリック・ウィルソンとハサウェイの甘いラブロマンス的な展開もあることから、恋愛映画という見方もされているようだが、本作は歴としたミステリ映画だ。最後に明らかになる真相を、あまりにも突拍子ないものに思う向きもあるやもしれぬが、そこへと至る伏線の張り方は、実は大胆にして巧妙。それが解き明かされるくだりには、きちんとした謎の解明をめぐるカタルシスがある。なお、監督のロドリゴ・ガルシアは、「百年の孤独」を書いたガルシア・マルケスの息子である。
日本推理作家協会報2009年5月号]
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