アンドリュー・テイラー、今年のダイヤモンドダガー賞を受賞

英国推理作家協会(CWA)が、生涯を通して犯罪小説の発展に功績のあった作家に授けるダイヤモンドダガー賞の今年の受賞者に、アンドリュー・テイラーを選んだ。デビュー作の「危ない暗号」(ハヤカワミステリ刊)でジョン・クリーシー賞(新人賞)のほか、二度にわたりエリス・ピーターズ賞(歴史ミステリ賞)を受賞しているテイラーだが、わが国での知名度は正直いまひとつ。代表作のひとつと思われる「天使の遊戯」、「天使の背徳」、「天使の鬱屈」(いずれも講談社文庫刊)の三部作も、年1冊という紹介の前作を忘れた頃に出るインターバルが災いし、いまひとつ正当な評価をされていないままきているように思える。エドガー・アラン・ポーの生誕200年にあたる今年あたり、若き日のポーを主人公にした時代ミステリの「The American Boy」(エリス・ピーターズ賞を受賞)を翻訳紹介する出版社が出てきて、いまだわが国では日陰の巨匠に甘んじているテイラーに、しっかりと陽の光を当ててもらえないだろうか。

The American Boy

The American Boy