エグザイル/絆／ジョニー・トー監督（2006・香）

美しい妻と生まれて間もない赤ん坊が待つわが家に帰って来たニック・チョ ン。待ち受けるのは、ボスの命を受け裏切り者の彼を殺さなければならないアンソニー・ウォンとラム・シュの二人組。一方、友人のニックを守ろうとするフランシス・ンとロイ・チョンもそこに駆けつける。しかし、彼ら五人は、少年時代を共に仲間として過ごした忘れることのできない過去があった。香港の巨匠ジョ ニー・トーの『エグザイル／絆』は、中国への返還が目前に迫ったマカオを舞台に繰り広げられる、そんな男たちの友情のドラマだ。目の前の利害対立をとりあえず棚にあげ、まずはニックの妻子のためにひと稼ぎしようとキナ臭い仕事に手を染める五人組だったが、こともあろうボスのサイモン・ヤムと鉢合わせしてしまい、揃って命を狙われることに。撃たれたニックを運び込んだ闇医者で銃撃戦が巻き起こったり、友を失い途方に暮れる彼らの目の前に葱しょった鴨よろしく 現れた現金輸送車が現れたりと、Ｂ級だけれどもやたら乗りのいい展開は、主演のアンソニー・ウォンが宍戸錠似ということもあって、日活アクション映画を彷彿とさせる。古き良きプログラミング・ピクチャーの美味しいとこ取りのような本作は、ハリウッドがリメイクに乗り出したというが、なるほど納得の面白さだ。
［日本推理作家協会報2008年12月号］
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