リボルバー/ガイ・リッチー監督(2005・英仏)

ジェイスン・ステイサム演じる主人公は、服役中に知り合ったペテン師たちから伝授された「究極の勝利の方程式」を土産に意気揚々と出所したギャンブラーだ。しかし、彼を嵌め、刑務所送りにした元の雇い主レイ・リオッタの経営するカジノで大金をせしめ、復讐を果たしたまではよかったが、突然心の声が鳴り響 き、さらには奇妙な二人組と出会ったことから、底なしの混乱に陥っていく。ポップな色調、アニメまで飛び出してきて、かの名作「ロック、ストック& トゥー・スモーキング・バレルズ」が総天然色の世界にスライドしたようなスタイリッシュさ、と称えたいところだが、ガイ・リッチーの演出は、前作(マドンナ出演の「スウェプト・アウェイ」)の失敗が響いてか、正直いって空回り気味。主人公とともに、物語までもが迷走してしまうあたりは完全なる失敗作だが、 それでいて所々に閃きもあるのだから侮れない。好事家には一見の価値ある怪作といっておこう。
[日本推理作家協会報2008年8月号]