裏切りの闇で眠れ/フレデリック・シェンデルフェール監督(2006・仏)

昨年のフランス映画祭で先行上映され、一部のファンから注目を集めていた「暗黒街の男たち」が『裏切りの闇で眠れ』と改題され、ついにロードショー公開された。危険な仕事の請負人として、裏社会を生きているヤクザ者の主人公フランクを見つめる醒めたタッチは、糖分ゼロ のフレデリック・シェンデルフェール監督の演出によるもの。過剰なまでの暴力シーンとセックスの匂いを盛り込みながら、その語り口はクールでざらついてい て、さすがはノワールのお国柄。フィリップ・コーベール演じるヤクザの親分の、暗黒街を牛耳るモンスターぶりが、とても強烈な印象を残す。主題歌に使われ ているマリアンヌ・フェイスフルの歌も素敵ですね。
[日本推理作家協会報2008年5月号]