シャーロック・ホームズ シャドウゲーム/ガイ・リッチー監督(2011・米英)


ひと頃は映像作家としてほとんど死に体という陰口まで囁かれたガイ・リッチーが見事に息を吹き返した前作。そして、この続編『シャーロック・ホームズ シャドウゲーム』では、ついにかつての勢いを取り戻した感がある。欧州の各地で起きる謎の爆破事件の裏に陰謀の匂いをかぎつけたロバート・ダウニーJrのホームズ。結婚を目前に控えたジュード・ロウのワトスンを無理やりつき合わせて、鍵を握るジプシーの女占い師のもとを訪ねるが、すんでのところで邪魔が入ってしまう。そんなホームズに届いた呼び出しは、モリアーティ教授からのものだった。
ひたすら風呂敷を広げる前半は、やや退屈な時間もあるが、ホームズとワトスンの関係をホモセクシュアルと仄めかし、軽快なコミディタッチで乗り切ってみせる。さらに後半はライヘンバッハの滝におけるクライマックスをちらつかせつつ、陰謀をめぐっての物語も伏線を回収しながらスリリングに展開していく。
ホームズの推理を視覚的に見せる手法もスキルが上がり、前作よりも効果的になった。乗りに乗っているホームズとワトスンのコンビに加え、スウェーデン版『ミレニアム』でリスベットを演じたノオミ・ラパスがジプシー女のシム役を演じているほか、兄マイクロフト役にスティーブン・フライ、モリアーティ教授役にジャレッド・ハリスという配役も、痒いところに手が届くようでいい。一抹の不安もあった本作がこれほどなら、すでに製作が決まっているというパート3にも期待するしかあるまい。
日本推理作家協会報2012年4月号)
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