1408号室/ミカエル・ハフストローム監督(2007・米)

ある意味、スティーヴン・キングの原作を超えたともいわれて評判になったフランク・ダラボン監督の「ミスト」に続いて、今度は「幸運の25セント硬貨」所収のゴーストストーリー『1408号室』がスウェーデン出身のミカエル・ハフストローム監督によって映画化された。歴史を誇るニューヨークの名門ホテルに、宿泊した者はすべて死を遂げる客室があるという都市伝説に好奇心をかきたてられた超常現象ライターのジョン・キューザックがホテルへと乗り込み、支配人のサミュエル・L・ジャクソンの制止を無視して、取材を決行するというお話。お約束のとおりにホテルの一室は幽霊屋敷へと変貌を遂げていくのだが、特殊効果を駆使したスペクタクルも多数盛り込まれて、やがて恐怖の遊園地状態へ。超常現象は仕事と割り切り、実はハナから幽霊など信じていないキューザックを、徹底的にコケにしようとする悪霊(?)が、亡くした娘の思い出ばかりが、彼の文学コンプレックスまでをも突いてくる意地悪ぶりが面白い。中盤で時空間がねじれるフックも効果的で、キング原作の映画化として、十分合格点の水準に達している。
日本推理作家協会報2009年3月号]
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