バンク・ジョブ/ロジャー・ドナルドソン監督(2008・英)

ガイ・リッチーの「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」で十年前にデビューしたジェイソン・ステイサムも、すっかりミステリ映画の顔になったが(「ステイ」、「リボルバー」などに主演)、最新作の『バンク・ジョブ』では、焦げついた借金のかたを一気につけようと、昔のガールフレンドのサフロン・バロウズが持ち掛けてきた旨い話に乗っかり、銀行を襲うセミプロの犯罪者を演じている。皇室スキャンダルの絡んだ実話に基づいているとのことだけれど、プランニングから仲間集め、さらに決行の模様をきっちりと描いていて、ケイパー(襲撃)ものとしてのじっくり見せてくれるのが嬉しい。後半、利害関係が錯綜し、主人公らグループを中心に、悪漢、政府機関、警察らが四つ巴になるスリリングな展開も、見応え十分だ。監督は、「追いつめられて」のロジャー・ドナルドソンで、英国の香りを濃厚に漂わせながら、七十年代のロンドンを作中鮮やかに蘇らせている。
日本推理作家協会報2009年2月号]
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