訃報（シーリア・フレムリン）

THE GUMSHOE SITEによると、イギリスの女性作家シーリア・フレムリンが２００９年６月にイギリスのドーセット州ボーンマスの老人ホームで亡くなっていたようだ。イギリス、ケント州の生まれで、９４歳だった。
フレムリンは、デビュー作の｢夜明け前の時｣で、いきなり1960年のエドガー賞の最優秀長篇賞に輝いた才媛で、同作はわが国にもいちはやく中田耕治訳で紹介された。ニューロチック・スリラーの傑作として世評を集めたが、missingpieceが翻訳ミステリを読み始めた頃にはこのハードカバー版はすでに入手が困難で、古書店をずいぶんと探した記憶がある。その後、翻訳の機会に恵まれなかったが、90年になって｢泣き声が聞こえない｣が出たのをきかっけに、デビュー作が新訳で復活、さらには短編集も紹介された。
（作品リスト）

• The Hours Before Dawn (1958) ｢夜明け前の時｣*創元推理文庫
• Uncle Paul(1959)
• Seven Lean Years (US: Wait for the Wedding) (1961)
• The Trouble Makers (1963)
• The Jealous One (1964)
• Prisoner's Base (1967)
• Possession (1969) ｢溺愛｣ *論創社
• Don't Go to Sleep in the Dark（1970）短編集
• Appointment with Yesterday (1972)
• By Horror Haunted（1974）短編集
• The Long Shadow (1975)
• The Spider-Orchid (1977)
• With No Crying (1980) ｢泣き声は聞こえない｣*創元推理文庫
• The Parasite Person (1982)
• A Lovely Day to Die（1984）短編集｢死ぬためのエチケット｣*創元推理文庫
• Listening in the Dusk (1990)
• Dangerous Thoughts (1991)
• The Echoing Stones (1993)
• King of the World (1994)

夜明け前の時 (創元推理文庫)

泣き声は聞こえない (創元推理文庫)

死ぬためのエチケット (創元推理文庫)

溺愛 (論創海外ミステリ)