「Xの悲劇」の新訳

もうすでにディープなミステリ好きの間ではかなりの話題になっているように、エラリー・クイーンの「Xの悲劇」の新訳が角川から出ます。訳者は、去年、パーシヴァル・ワイルドの「検死審問(インクェスト)」でも古典のいい雰囲気を大切にしながら、読みやすくシャープな訳文が光っていた越前敏弥。現在、文庫などで手に入る訳は、鮎川信夫訳(創元推理文庫)、宇野利泰訳(ハヤカワミステリ文庫)、大久保康雄訳(新潮文庫)などがあって、どれも悪くはないのだけど、この名作を若い読者向けにリニューアルする意味は大きいと思う。「Y」ではなく、まずはきちんと「X」から出してくれたことにも(四部作のパート1だし、何よりわたしは「Y」よりもこっちが好き)、ちょっと拍手を送りたくなる。

Xの悲劇 (角川文庫)

Xの悲劇 (角川文庫)