2011-07-01から1ヶ月間の記事一覧

ブラック・スワン/ダーレン・アロノフスキー監督(2010・米)

『グリフターズ/詐欺師たち』のアネット・ベニング、『デッド・カーム/戦慄の航海』のニコール・キッドマン、『シャッター アイランド』のミシェル・ウィリアムズといった過去にミステリ映画でいい仕事をした女優たちがずらりと顔を揃えた本年アカデミー賞…

湖のほとりで/カリン・フォッスム(PHP文芸文庫)

ここのところ次々と紹介される北欧からの新たな才能だが、ノルウェーの女性作家カリン・フォッスムもその一人だ。『湖のほとりで』は、映画ファンならご存知のように、同題のイタリア映画(日本公開は2009年)の原作で、スカンジナビア半島のフィヨルド…

人狩りは終わらない/ロノ・ウェイウェイオール(文春文庫)

焦がれた再会を心から喜びたい作品である。前作の『鎮魂歌は歌わない』が出たのが三年ほど前。その後音沙汰がなく、続編が紹介されることはもうないのだろうと諦めていただけに、喜びもひとしお。ロノ・ウェイウェイオールの第二作『人狩りは終わらない』で…

アンノウン/ジャウム・コレット=セラ監督(2011・米独)

計画停電による映画館の休館や公開予定の延期、中止が相次ぐなど、3・11の大震災は映画の世界にも大きな影響を及ぼしたが、この作品もそのあおりを受けたひとつ。幸いにしてお蔵入りは免れたものの、邦題として当初予定されていた『身元不明』を原題どおり…

ラスト・ターゲット/アントン・コービン監督(2010・米)

原作とその映画化が似て非なるものなのは当然だが、マーティン・ブースの『暗闇の蝶』(『影なき紳士』のタイトルでも旧訳あり)を映画化したアントン・コービン監督の『ラスト・ターゲット』は、原作のエッセンスを抜き出し、それを鮮やかに再構築してみせ…

ゴーストライター/ロマン・ポランスキー監督(2010・仏独英)

ロマン・ポランスキーといえば、アイラ・レヴィンの『ローズマリーの赤ちゃん』やローラン・トポールの『幻の下宿人』の映画化などで、かつてはミステリの世界とも縁浅からぬ映画監督のひとりだったが、久しぶりにそんな古い話を思いださせてくれる話題が、…

ムーンライト・マイル/デニス・ルヘイン(角川文庫)

一九九九年の『雨に祈りを』以来だから、なんと十一年ぶり。そんなパトリック&アンジー・シリーズの新作が、いきなりの最終回だなんて。デニス・ルヘインの『ムーンライト・マイル』は、六作目にして泣いても笑ってもこれが読み収めとなるシリーズの最後の…