2011-01-01から1ヶ月間の記事一覧
ジェフリー・アーチャーの新作『遥かなる未踏峰(上・下)』である。二十世紀の初頭、北極、南極と並んで人類未踏の極地であった世界の最高峰エヴェレスト。その遥かなる頂きを目指したイギリスの国民的な英雄ジョージ・マロリーの生涯を描く物語である。 実…
昨年来日し、インタビューやファンとの交流イベントなどを通じて日本の読者の間では一段と親しみが増したジェフリー・ディーヴァーの、ちょっとユニークな企画の新作が届けられた。『ショパンの手稿譜』(ヴィレッジブックス)は、そもそも本国のアメリカで…
イアン・ランキンの『最後の音楽』は、ほぼ二十年という長い歳月にわたって発表されてきたシリーズの最終作だ。定年退職の日を目前にひかえたエジンバラ警察犯罪捜査部のツワモノ警部、ジョン・リーバスの警察官生活最後の十日間を描く作品である。 追われる…
ジョー・ゴアズといえば、一般には映画にもなった「ハメット」の原作者として、ミステリ・ファンにはDKA(ダン・カーニー探偵事務所)シリーズの作者として馴染みのある作家だけれど、すでに過去の人だと思っている方が多いのではないか。実はわたしもそ…
いかにも大味なハリウッド映画という佇まいで、何から何までデートムービー風であるがゆえに、『ナイト&デイ』をミステリ映画好きの鑑賞にも堪えうる映画だと言っても、信じてもらえないかもしれない。しかし、監督のジェームズ・マンゴールドは、怪作(し…
主人公がハワード・ホークスの『三つ数えろ』(ご存知、原作はチャンドラーの『大いなる眠り』)の台詞を丸々暗記している映画。そんなものを作るくらいだから、ジャン=ピエール・ジュネ監督は、相当のミステリ通なのではなかろうか。そういえば、前作はセ…