2010-02-01から1ヶ月間の記事一覧

隣の家の少女/ジャック・ケッチャム(扶桑社海外文庫)

最近掲載された広告を見ると、なんでも10万部を突破だとか。本書が隠れたベストセラーとはちと怖い気がするが、映画の公開を目前にひかえ、それを記念してケッチャム作品のアーカイブを三作紹介します。 良識派が眉をしかめる中、じわじわとその評価を高め…

殺す者と殺される者/ヘレン・マクロイ(創元推理文庫)

古典の発掘に多小の黴臭さはつきものだと思うが、ヘレン・マクロイの諸作はその稀有な例外かもしれない。先のリバイバルで読者から好評をもって迎えられたときく『幽霊の2/3』しかり。そして今回復刊なった『殺す者と殺される者』(創元推理文庫)またし…

スペード&アーチャー探偵事務所/ジョー・ゴアズ(早川書房)

ハメットが「マルタの鷹」を世に送り出してから今年が八十年目にあたるらしく、それを記念しての出版と謳われて登場したのが、ジョー・ゴアズの『スペード&アーチャー探偵事務所』だ。「マルタの鷹」の前日譚というこの作品、なんでもハメット遺族の公認を…

屍車/ジョー・シュライバー(集英社文庫)

初紹介となるジョー・シュライバーの『屍車』も、あんまりな邦題が玉に瑕だが、ホラー系としてはなかなかの収穫。雪の降りしきる夜のニューイングランドを舞台に、幼い娘を人質にとられた母親が、謎の男の命じるまま町から町へと車を走らせる。前半のストレ…

暁に消えた微笑み/ルース・フランシスコ(ヴィレッジブックス)

ロマンス小説のような邦題なので、ややもすると見逃されそうだが、ルース・フランシスコの『暁に消えた微笑み』は、なかなか味なサスペンス小説だ。ローラが別れ話を切り出すや、ストーカーと化してしまった元恋人のスコット。しかしそんな矢先、ローラは忽…

衣裳戸棚の女/ピーター・アントニイ(創元推理文庫)

古典リヴァイヴァルの追い風に乗って登場したピーター・アントニイの『衣裳戸棚の女』という作品。わが国のファンの間ではあまり知られてないが、海の向こうでは「戦後最高の密室ミステリ」という評価もあって、映画「探偵スルース」や「アマデウス」でお馴…

ロフト./エリク・ヴァン・ローイ監督(2008・白)

ベルギーでロングランを記録したというエリク・ヴァン・ローイ監督の「ロフト.」は、ロフト仕様のマンションの一室で、手錠でベッドに繋がれた血まみれの女性が死体となって発見されるのが物語の発端。どうやら犯人は、情事に利用するため部屋を共有する建…

悪意の森/タナ・フレンチ(集英社文庫)

やや紹介が遅れたが、アイルランドから登場した『悪意の森』のタナ・フレンチは、かなり楽しみな才能だ。ダブリン郊外の深い森に子供たちが姿を消した事件から二十年が過ぎ、ただひとり生還した少年が成人し、殺人課の刑事になっている。そんな彼の封印され…