2009-09-01から1ヶ月間の記事一覧

今年のCWA賞の候補作

今年のCWA(英国推理作家協会)賞の候補作ショートリストがすでに発表になっています。長篇賞部門で候補として残っているのは次の6作。発表は10月21日が予定されている模様です。 Kate Atkinson 「When Will There Be Good News? 」(Black Swan/Transworl…

「翻訳ミステリー大賞シンジケート」がいよいよスタート

「ミステリマガジン」で隔月連載中の「翻訳ミステリ応援団!」がきっかけとなったブログ企画がスタートする模様だ。内容は、近刊ミステリの先取り紹介や書評、コラムなど。サイト管理は杉江松恋。日替わり更新を目指すようなので、大いに期待したい。なお、…

死のドレスを花婿に/ピエール・ルメートル(柏書房)

非英語圏といっても、フランスはイギリスと並ぶヨーロッパのミステリ大国だが、ピエール・ルメートルはそのフランスで由緒あるコニャック・ミステリ大賞という登竜門を三年前にくぐったばかりの作家だ。日本の読者には初紹介となる『死のドレスを花婿に』は…

サイコブレイカー/セバスチャン・フィツェック(柏書房)

ミレニアム三部作のヒットが巻き起こした波及効果のひとつに、ヨーロッパの非英語圏作品への関心の高まりがあると思うが、セバスチャン・フィツェックはスティーヴ・ラーソンよりもひと足早く、ドイツのミステリシーンに日本の読者の目を向けさせた作家だ。…

迷惑なんだけど?/カール・ハイアセン(文春文庫)

ソロデビューの「殺意のシーズン」以来、ひとりわが道を往くという恰好で飄々と作品を発表してきているカール・ハイアセンだが、前作の『復讐はお好き?』でぐんと評価がはねあがったのは、ハイアセンに変化があったのでなく、スクリューボールのような癖の…

白夜に惑う夏/アン・クリーヴス(創元推理文庫)

前作『大鴉の啼く冬』は、スコットランドの北東に位置するシェトランド本島の厳しい冬の物語だった。前作の好評を受けて登場となるこの『白夜に惑う夏』は、白夜が続く同じ舞台の短い夏に起きた事件が描かれる。作者はイギリスの女性作家アン・クリーヴスで…

劇団フーダニットが十周年の節目に「罠」を再演

来るシルバーウィークに、今年で創立10年目を迎えたミステリ劇専門の劇団フーダニットの記念公演が予定されています。上演されるのは、ロベール・トマの代表作で、ミステリ劇の古典的名作「罠」で、今回は2000年12月の記念すべき旗揚げ公演で上演され…

創元推理SF文庫の復刊フェア2009

文庫創刊50周年にあたる今年は、春先の読者を対象にしたリクエストのアンケートをふまえて、作品を決定したとのこと。新カバーは4点のようです。9月下旬から開催中。ラインナップは下記のとおり。 エラリー・クイーン編『犯罪文学傑作選』●新カバー シャー…

ジョン・バカン原作のコメディが上演されます

イギリスでは2007年のオリヴィエ賞(Best New Comedy部門)に輝いた「THE 39 STEPS-秘密の暗号(コード)を追え!-」が、明年2月に日比谷シアタークリエにて上演されます。ヒッチコックも映画化したジョン・バカンの原作(「三十九階段」)をパトリック・バ…

修道女フィデルマの叡智/ピーター・トレメイン(創元推理文庫)

ピーター・トレメインの〈修道女フィデルマ〉シリーズは、七世紀の古代アイルランドを舞台に、王族の血をひく法律家で美貌の修道女フィデルマの活躍を描く歴史ミステリだが、そのヒロインのクールな佇まいと、彼女の快刀乱麻の如き謎解きがセールスポイント…

荒野のホームズ、西へ行く/スティーヴ・ホッケンスミス(ハヤカワ・ミステリ)

スティーヴ・ホッケンスミスの『荒野のホームズ、西へ行く』は、ウェスタン小説さながらに十九世紀のアメリカ西部を舞台にしたドイル作を本歌取りした異色のシリーズ第二作だが、今回、ホームズとワトスンならぬグスタフとオットーの赤毛の兄弟コンビは、カ…

ビューティ・キラー2犠牲/チェルシー・ケイン(ヴィレッジブックス)

TVシリーズの「デクスター」をお手本にしたようなチェルシー・ケインの『ビューティ・キラー2犠牲』は、女性のシリアルキラーとそれを追う捜査官の因縁を描いた連ドラ風サイコロジカルスリラーの第二部。女性の連続殺人犯という設定にやや違和感がないで…

セブンデイズ/ウォン・シニョン監督(2007・韓)

「シュリ」での好演をきっかけにハリウッドへ進出、まるでサクセスストーリーを絵に描いたような成功を収めている女優のキム・ユンジンだが、レギュラーであるTVシリーズ「LOST」の第四シーズンと第五シーズンの合間に一時帰国して主演したのがウォン・シニ…

ハウスホールド「追われる男」の続編

英国冒険小説の輝かしい古典のひとつに数えられるジェフリー・ハウスホールドの「追われる男」は、村上博基の新訳が2002年に創元推理文庫から出たが(1960年刊の旧版は宮本陽吉訳)、その43年後に書かれた続編が翻訳紹介されます。「Rogue Justice」(1982)がそ…

シャッター・アイランド/デニス・ルヘイン(ハヤカワ文庫)

結末が気になる!と読者に思わせることは、まさにミステリという文学形式の本懐だと思うけれども、誰が始めたのかは知らないが、結末の部分を封じた形で書店に並べるという袋とじの趣向*1は、ミステリ・ファンの稚気をくすぐる上手い商売の方法だと思う。し…

「シャッターアイランド」の日本版予告編

デニス・ルヘインの原作を、マーティン・スコセッシが監督した映画「シャッターアイランド」の日本公開用の予告編が観られます。主演は、ご存知、レオナルド・ディカプリオ。なお、日本公開は、今年の年末が予定されていましたが、来年上半期に順延されたよ…

コーパスへの道/デニル・ルヘイン(ハヤカワ文庫)

私立探偵パトリックとアンジーのシリーズや、映画にもなった『ミスティック・リバー』、最新作の『運命の日』と、長篇小説の作家として語られることの多いデニス・ルヘインだが、『コーパスへの道』では、これまで知られなかった短篇作家というもうひとつの…

拳銃猿/ヴィクター・ギシュラー(ハヤカワ文庫)

書店の店頭で「なんてタイトルなんだ!」と呆れた読者も多いことと思う(かくいうわたしもそう)ヴィクター・ギシュラーの『拳銃猿』である。しかし、内容にしたところが、この能天気というか、おポンチというか、しょうもないタイトル通りなのだから、すごい…

「拳銃猿」映画化か?

「映画秘宝2009年10月号」によれば、ヴィクター・ギシュラーのガン・アクション・ミステリ「拳銃猿」に映画化の噂がある。詳細は未定だが、監督はアメリカに渡った北村龍平監督。クライヴ・バーカーの短編を映画化した「ミッドナイト・ミート・トレイン」は…

訃報(シーリア・フレムリン)

THE GUMSHOE SITEによると、イギリスの女性作家シーリア・フレムリンが2009年6月にイギリスのドーセット州ボーンマスの老人ホームで亡くなっていたようだ。イギリス、ケント州の生まれで、94歳だった。 フレムリンは、デビュー作の「夜明け前の時」で、…