2009-07-01から1ヶ月間の記事一覧
アカデミー賞に輝いたヘビーな「ノーカントリー」の次作ということもあって、犯罪コメディをお手軽に撮ったようにも見える『バーン・アフター・リーディング』だが、そこはジョエルとイーサンのコーエン兄弟のこと、一筋縄ではいかない。衛星からの画像を使…
帯の「ジョー・R・ランズデール絶賛!?」も賑々しい、オハイオ在住の謎の作家L・T・フォークスの『ピザマンの事件簿 デリバリーは命がけ』である。妻の浮気がきっかけで、酒に酔って暴れた結果が、実刑判決の刑務所暮らし。そんな散々な目にあった主人公のテ…
人生の究極の選択をテーマにした作品といえば、個人的にはアラン・J・パクラの『ソフィーの選択』が思い浮かぶが、『ダイアナの選択』でヒロインのエヴァン・レイチェル・ウッド(役名ダイアナ)が迫られる選択も、それに負けず劣らず厳しいものだ。コロン…
『青チョークの男』は、先に『死者を起こせ』が紹介されたフランス作家のフレッド・ヴァルガスによる新シリーズの幕開き篇。まずは、いかにもフレンチ・ミステリらしいエスプリに溢れたイントロが印象的だ。 新たな都市伝説として、パリっ子を騒がせる事件が…
すでに各所で報じられていますが、今年のCWA(英国推理作家協会)賞の一部が発表されました。公表されたのは4部門で、Short Story DaggerがSean Chercover の「One Serving of Bad Luck」(ローレンス・ブロック、ローラ・リップマン、ピーター・ロビンソ…
ナ・ホンジン監督の『チェイサー』は、いち早く試写を観た評論家やブロガーは絶賛だったし、カンヌやゆうばりファンタで評判をとった実績もあって、期待するなという方が難しい状況の中で初日に観たのだけれども、期待値の高さも災いしたか、がっかりさせら…
パトリシア・ハイスミスの原作は、アルフレッド・ヒッチコックの映画化(ちなみに、脚本にはレイモンド・チャンドラーが参加)で広く知られていますが、1995年にクレイグ・ワーナーという脚本家が戯曲化したものが、東京グローブ座で上演されます。演出は、th…
「300〈スリーハンドレッド〉」で、オタクチックながらも独自の映像世界を構築してみせたザック・スナイダー監督の新作『ウォッチメン』は、ベトナム戦争にアメリカが勝利し、その後もニクソンが大統領の座を守り続けているパラレルワールドのお話だ。この…
ジョナサン・キャロルの作品では、「蜂の巣にキス」、「我らが影の声」、「死者の書」がマイ・フェイバリットというと、ああ、やはり根っからのミステリ・ファンだね、と思われそうだが、とことん個性的でファンタスティックな彼の作風も実は嫌いじゃない。…