2009-06-01から1ヶ月間の記事一覧

この世界、そして花火/ジム・トンプスン(扶桑社海外文庫)

ペキンパーが監督した「ゲッタウェイ」やウェストレイクが脚本を書いた「グリフターズ」ほど有名じゃないが、ジム・トンプスン原作の映画に「ファイヤーワークス」がある。(一九九六年・アメリカ映画。監督はマイケル・オブロウィッツ)その元となった中篇…

パッセンジャーズ/ロドリゴ・ガルシア監督(2008・米)

「ブロークバック・マウンテン」と「プラダを着た悪魔」で注目を集めるアン・ハサウェイ主演が売りの『パッセンジャーズ』。旅客機の墜落事故で奇跡的に生き残った五人の乗客を相手に、精神的なケアを担当することになったセラピストのアン・ハサウェイ。し…

沙蘭の迷路/ロバート・ファン・ヒューリック(ハヤカワ・ミステリ)

処女作にはその作家のすべてがあるなんて言うけど、それはこういう作品があるからだろう。ロバート・ファン・ヒューリックの『沙蘭の迷路』、ご存知唐代の中国を舞台にしたディー判事シリーズの第一作にあたる。「迷路の殺人」ほかの旧訳旧題でお馴染みだが…

ダブリンで死んだ娘/ベンジャミン・ブラック(ランダムハウス講談社文庫)

英国のブッカー賞といえば、最近もアラヴィンド・アディガの「グローバリズム出づる処の殺人者より」という去年の受賞作を犯罪小説の収穫として紹介したばかりだが、この作家も過去に同賞を受賞している。『ダブリンで死んだ娘』のベンジャミン・ブラックは…

ハヤカワ・ミステリ文庫にて作家別短編集の企画がスタートします

これまでも晶文社、河出書房新社によって、ジャック・リッチー、A・H・Z・カー、ロバート・トゥーイ、ジェイムズ・パウエルら短編作家の再評価が進められてきましたが、老舗の早川書房から、現代作家中心の作家別短編小説集の企画がスタートします。題して、…

検死審問ふたたび/パーシヴァル・ワイルド(創元推理文庫)

抱腹絶倒のユーモアと機知にとんだ面白さで喝采を叫ばせてくれたパーシヴァル・ワイルドの「検死審問」から一年。続編にあたる『検死審問ふたたび』が出た。タイトルどおり、前作の後日談で、今度は都会から越してきたパルプ作家が焼死した事件をめぐって、…

「読ホリデイ」の書影が公開されています

フリースタイルから刊行予定の「都筑道夫の読ホリデイ」の書影がamazonで公開されています。装丁は、「ポケミス全解説」と同じく、平野甲賀。現時点で発売日は、予告どおり、都筑道夫80歳の誕生日にあたる7月6日で変更ないようです。 (追記 6/12)発売日の確…

集英社文庫から4か月連続で怒涛(?)のリリース

集英社文庫から話題の翻訳ミステリが4冊連続で刊行されます。その第一弾は、過去2度にわたりCWAのイアン・フレミング・スチール・ダガー賞にノミネートされた実績を持つイギリス作家R・J・エロリーが本邦初登場。 今回刊行される「静かなる天使の叫び」(…

ユダヤ警官同盟/マイケル・シェイボン(新潮文庫)

歴史改変というテーマがある。SFでいうパラレルワールドもののひとつで、ある歴史上の分岐点を境に、そこから史実とは異なる経過をたどっていくイフの世界の物語を指してそう呼ぶわけだが、なぜかその起点となる分け目を二次世界大戦に求める例が多い。日…