2008-08-01から1ヶ月間の記事一覧

運命の日/デニス・ルヘイン(早川書房)

あざといところのあるミステリだった『シャッター・アイランド』の次は、なるほどこう来ますか。というわけで、どういう事情かは知らぬが、わが国の先行刊行となるらしいデニス・ルヘインの新作『運命の日』は、時代の波に揺り動かされる二十世紀初頭のボス…

老検死官シリ先生がゆく/コリン・コッタリル(ヴィレッジブックス)

メコンの流域、インドシナ半島の東寄りにあるラオス人民民主共和国を舞台にしたユニークな新シリーズの第一作『老検死官シリ先生がゆく』を。主人公は、新生間もないこの共産主義国家でたったひとりの検死官。齢七十二歳、年金生活の夢破れたこの老医師の多…

七番目の仮説/ポール・アルテ(ハヤカワ・ミステリ)

古い下宿屋の長い廊下の密室状況で、医師たちが運ぶ担架の上から消えうせた患者、また巡回中の警察官を嘲笑うように忽然とゴミ缶の中に現れた死体。例によって、本家ディクスン・カーも真っ青という不可能趣味に溢れた謎を冒頭から読者につきつけてくるのは…

イースタン・プロミス/デヴィッド・クローネンバーグ監督(2007・英加)

タイトルは、英国における東欧犯罪組織の人身売買契約を指すらしいデヴィッド・クローネンバーグ監督の新作『イースタン・プロミス』。赤ん坊を出産して死んだ身元不明の少女が遺した手帳には、彼女をレイプし、売春をさせていたロシアン・マフィアのボスに…

Mr.ブルックス 完璧なる殺人鬼/ブルース・A・エバンス(2007・米)

『Mr.ブルックス 完璧なる殺人鬼』は、実業家にして地元の名士、そんな仮面をかぶったシリアルキラーをケビン・コスナーが演じる。いまさらながらのサイコキラーものだけれど、始まってしばらく観ていると、主演のコスナーが、製作まで手がけるご執心のわけ…

リボルバー/ガイ・リッチー監督(2005・英仏)

ジェイスン・ステイサム演じる主人公は、服役中に知り合ったペテン師たちから伝授された「究極の勝利の方程式」を土産に意気揚々と出所したギャンブラーだ。しかし、彼を嵌め、刑務所送りにした元の雇い主レイ・リオッタの経営するカジノで大金をせしめ、復…