2008-05-01から1ヶ月間の記事一覧
なんだか久しぶりの翻訳紹介という気がするジョー・R・ランズデールだが、『ロスト・エコー』は二○○七年の新作である。テキサスの田舎町を舞台に、六歳のときの発熱で不思議な力を身につけた少年が主人公という、いかにも作者らしいお話だ。 主人公のハリー…
ヘイク・タルボットの「魔の淵」は、その昔ジョン・スラデックの「見えないグリーン」とともに遅れてやってきた幻の密室ものとしてわが国に紹介されたが、タルボットには実はもう一冊密室ものがある。本作『絞首人の手伝い』がそれで、「魔の淵」の賭博師探偵ロ…
アカデミー賞受賞のニュースにちょっと驚いたイーサンとジョエルのコーエン兄弟が監督した『ノーカントリー』は、昨年わが国にも翻訳紹介されたコーマック・マッカーシーの「血と暴力の国」を映画化した作品だ。この兄弟作品では、ノースダコタの田舎町で起…
猫も杓子もリメイクのご時世で、再映画化には食傷気味の昨今だが、さすがにこれは別格だろう。七二年にジョセフ・L・マンキウィッツ監督がアンソニー・ シェーファーの戯曲をもとにメガホンをとった作品を、ケネス・ブラナー監督がリメイクした『スルース』…
昨年のフランス映画祭で先行上映され、一部のファンから注目を集めていた「暗黒街の男たち」が『裏切りの闇で眠れ』と改題され、ついにロードショー公開された。危険な仕事の請負人として、裏社会を生きているヤクザ者の主人公フランクを見つめる醒めたタッ…