2008-02-01から1ヶ月間の記事一覧

ルインズ 廃墟の奥へ/スコット・スミス(扶桑社海外文庫)

大評判になったデビュー作以来ずいぶんと音沙汰がなくて、一発屋とも、二作目のジンクスとも陰口を叩かれていたスコット・スミスだけれども、やっと新作が届けられた。前作からは十三年ぶりの『ルインズ 廃墟の奥へ』である。 バカンスでメキシコのユカタン…

検死審問‐インクエスト-/パーシヴァル・ワイルド(創元推理文庫)

新訳で登場したパーシヴァル・ワイルドの『検死審問‐インクエスト-』は、遺言書を書き換えたばかりの売れっ子女性作家の屋敷で起きた猟銃による死亡事件をめぐって、田舎町の検死裁判が繰り広げるすったもんだを愉快に描いた逸品。有名な劇作家の余技的な作…

紳士たちの遊戯/ジョアン・ハリス

ジョニー・デップ主演の映画「ショコラ」の原作者としてお馴染みのジョアン・ハリスが書いたミステリとして、エドガー賞にまでノミネートされたというのが『紳士たちの遊戯』である。伝統を誇る男子校セント=オズワルドに、新学期がやってきた。しかし、新…

紫雲の怪/ロバート・ファン・ヒューリック(ハヤカワミステリ)

ロバート・ファン・ヒューリックが唐代の中国を舞台に描く歴史ミステリ、ディー判事シリーズも、七年前からポケミスが新訳でコツコツと刊行してきて、残すところあと僅か。未紹介長編としては最後のひとつ、『紫雲の怪』の登場である。西の辺境蘭坊に赴任し…

グリンドルの悪夢/パトリック・クェンティン(原書房)

作家としての知名度も、作品の紹介数もそれなりにあるパトQことパトリック・クェンティンだが、『グリンドルの悪夢』を読むと、そんな過去の評価も氷山の一角に過ぎなかったか、という思いにとらわれる。このクラスの作品が未紹介で眠っているなら、もっと…

ルーズベルト暗殺計画/デイヴィッド・L・ロビンズ(新潮文庫)

「鼠たちの戦争」の作者デイヴィッド・L・ロビンズが、今なおその死に謎が残る第三十二代アメリカ合衆国大統領ルーズベルトをめぐる史実に取材した『ルーズベルト暗殺計画』。二次大戦下、大統領の命を狙って、すご腕の女暗殺者がワシントンに潜入する。そ…